Outdoor Press
Camp & Trekking
登山レポ

霧の比良山地最高峰武奈ヶ岳と珍しい近畿の湿原の八雲ヶ原〜アクセスと登山情報〜

比良山地の最高峰「武奈ヶ岳」に登ってきました

滋賀県の琵琶湖の西側に連なる比良山地。大阪からも比較的アクセスしやすい地域なのに登山では訪れたことはありませんでした。滋賀の琵琶湖の西側というと、カヤックなどのマリンスポーツやバスフィッシング、キャンプなどアウトドアを楽しむには絶好のスポットなのですが、登山ではノーマーク。

そこで今回は初めて比良山地に登山に行ってきました。目指すは最高峰「武奈ヶ岳」。滋賀といえば前に登った「伊吹山」が有名ですが、今回の武奈ヶ岳も素晴らしい山でした!滋賀は伊吹山だけではなかったのです。

あわせて読みたい
青空と眺望が素晴らしい伊吹山[アクセス・登山情報]近畿に3つある百名山のひとつ「伊吹山」に登って来ました! こんにちは!ナオです(@PressOutdoor)今日もお読みいただきありが...

それではいつものように、武奈ヶ岳の概要とアクセス情報、登山のようすをまとめてみましたのでゆっくりご覧ください。

武奈ヶ岳とはどういう山?

武奈ヶ岳(ぶながたけ)は、滋賀県大津市にある標高1214.4の山。滋賀県西部、湖西地方に位置する比良山地の最高峰である。琵琶湖国定公園の一部。日本二百名山。近畿百名山の一つ。

武奈ヶ岳は、釈迦岳を最高峰とする北比良、同じく蓬莱山を中心とする南比良に対して、比良山地の北部を占める奥比良に位置している。以前は山麓から山頂に比較的近い北比良峠まで、リフトやロープウェイで結ばれていたほか、スキー場を有するなど京阪神近郊有数の山岳観光地であったが、今日ではこれらは全て廃止されている。

山名は、中腹部にブナの木が多く生えていることに由来していると言われている。頂上からは360度の展望を楽しむことができ、晴れた日には、遠く御嶽山や白山も望むことができるとされる。

(Wikipediaより引用)

武奈ヶ岳、日本二百名山に選定されている山で、位置的に大阪からも近い山です。有名な「比叡山」も近くにありますが、こちらは比良山地には属しません。

以前はスキー場もあり、武奈ヶ岳へ直接登るロープウェイの建設計画もあったそうで、これは環境破壊が懸念される声が多く、署名運動が行われたようです。結局、その後のバブル崩壊もあり中止になりました。

山名の由来がとてもわかりやすい武奈ヶ岳。次の項目では武奈ヶ岳へのアクセスについてまとめてみました。

武奈ヶ岳へのアクセス

今回は「比良イン谷口」というバス停の近くにある「大津ワンゲル道登山口」からスタートし、ゴールは「大山口」です。後ほど登山ルートの説明でお話ししますが、比良イン谷口からぐるっと1周するコースとなります。

*公共交通機関でのアクセス・・・JR湖西線比良駅下車江若交通の路線バス「比良登山線比良イン谷口ゆき」を利用、「比良イン谷口」で下車徒歩すぐで「大津ワンゲル道登山口」。(但し、土曜・休日のみの運行。積雪のある12月日曜日の翌日〜「春分の日」前日までは運行しません。お盆期間(8/14〜8/16間)は運行。)

比良イン谷口行き 比良駅発(土曜・休日)
8時 20分
9時 10分
15時 40分
16時 20分
比良駅行き 比良イン谷口発(土曜・休日)
8時 40分
9時 30分
15時 25分
16時 00分  40分

比良駅から徒歩で比良イン谷口まで行くには、およそ40分ほどかかるようです。

*車でのアクセス・・・国道161号線(バイパス)「比良ランプ」を降りてすぐの交差点を山側へ県道322号線比良山線を進めばイン谷口に到着します。

「大山口」から下山するので、大山口に近い駐車場を今回利用しました。「暮雪山多目的保安林駐車場」と言います。イン谷口のバス停から左の方に進むと到着します。

ご覧の通り、車高の低い車は厳しいと思いますので、もう一つの駐車場をオススメします。

広さは十分ですが、木があるので駐車の際は注意してください。

こちらの駐車場にはトイレもありますので、登山前に済ませておきましょう。

こちらがもう一つの駐車場で「大津ワンゲル道登山口」になります。アスファルトなので車高の低い車でも大丈夫。こちらも広さは十分です。イン谷口のバス停の分岐を右側に進むとすぐにあります。

国道161号バイパスの比良ランプからすぐなので、迷うことなくたどり着けます。駐車場料金が無料なのも嬉しいですね。

以上が登山口へのアクセス情報です。次の項目では今回の登山ルートについてご紹介したいと思います。

今回の登山ルート

先ほどのアクセス情報でもお話しましたが、今回の武奈ヶ岳の登山ルートは比良イン谷口のバス停の先にある「大津ワンゲル道ワンゲル道登山口」から北比良の最高峰「釈迦岳」へまず登り、そこから「八雲ヶ原」を経由して比良山地最高峰の「武奈ヶ岳」へ登ります。

山頂で食事休憩をしたあとは、気持ちの良い稜線歩きを楽しみながら下山を開始。「ワサビ峠」を経て難所の「青ガレ」を通り「大山口」へそして比良イン谷口へ戻る、ぐるっと1周するルートです。

登山口から山頂までの標高差はおよそ1,000mほど。距離はおよそ18.4kmのルートとなります。実際に登ってみた私のコースタイムで9時間50分(うち休憩1時間36分、山行時間8時間14分、ヤマレコでの歩くペースは0.8〜0.9速い)でした。

コースタイムを見てもわかる通り、長丁場な今回の登山ルートは、忙しくでなかなか山に行けなかったので、思いっきりゆっくり山を楽しみたい!という思いで選択しました。

なお、今回の登山ルートに水場はありませんので、水分はご自分の必要な量を必ず持って行くようにしましょう。

登山口と山頂との標高差がおよそ1,000mほどありますので、それなりにキツイです。ペース配分を考えながら楽しんで登ってください。

では、実際に登って見ましたので、次項より登山の様子を写真を交えて紹介します。

武奈ヶ岳登山のようす

武奈ヶ岳に訪れたのは7月の末の日曜日。本来なら、土曜日に登山を楽しみ翌日の日曜日は部屋でゆっくり過ごしながら余韻に浸りたいのですが、今回は土曜日に台風が来たので断念。台風一過の青空を期待して日曜日の早朝に滋賀まで車を走らせて来ました。

暮雪山多目的保安林駐車場に車を停めたのが朝の6時。もう何台かの車が駐車されており、数名の登山者の姿が見えました。

駐車場から下ると管理事務所が見えて来ます。こちらで登山届けをポストに提出します。

地図や注意書きなどに一通り目を通しながら、軽く準備運動。

管理事務所からさらに下った所に、「比良イン谷口」のバス停があります。この二股を左に曲がります。

すると、「大津ワンゲル道登山口」前の駐車場に到着します。ここにも駐車場があることをこの時初めて知りました。今回駐車した暮雪山多目的保安林駐車場は舗装されてなく、広さは十分あるのですが、少し駐車しにくいです。車高の低い車に乗られている方は、こちらの駐車場の利用がオススメです。

駐車場からすぐ登山道が始まります。こちらの橋の手前にも登山届提出のBOXが用意されてますので、ワンゲル道の駐車場を利用しても管理事務所まで行く必要はありません。台風の後のせいか水量多めの沢を渡り進みます。

朝からスッキリとは晴れませんでしたが、天気は回復傾向。山頂で素晴らしい景色が見られることを期待し、霧の登山道を進みます。

少し幻想的な霧の世界。日差しはないので過ごしやすそうに見えますが、実際は蒸し暑くて汗が止まりません・・・

雰囲気の良い登山道。どうやらこのルートを今日登るのは私が初めてみたいで、蜘蛛の巣の洗礼を受けます・・・トレッキングポールで払いながら進むのでなかなかペースが上がりません。

岩が目立つようになると、勾配もきつくなり、さらに汗をかきます・・・

こんな霧の登山もたまにはいいものと言い聞かせ、休憩がてらザックをおろしスマホで撮影します。

木の根がすごい。自然ってすごい!を写真で表現するのは、私にはまだまだできません・・・

途中の看板で難路注意とありました。ん?と思いながら進むと・・・

いきなりの急斜面。トレッキングポールを畳んで収納し手を使い登ります。

こういう時、大概ドヤ顔で「三点支持や!三点支持!」と一人でブツブツ言いながら登っているのは私だけでしょうか?危険な場所になると妙に慎重に進むのは、我ながらいい性格だ。なんて思っていますが、なんでもないとこでコケるタイプの人間です。

ようやく勾配も緩やかになり、上空には少し青空も見えて来ました。

第一目標点の「釈迦岳」に到着です。

釈迦岳の標高は1,060m。大津ワンゲル道登山口からおよそ2時間半ほどかかりました。標高差およそ800mを一気に登ったので、結構しんどかったです。写真のとおり山頂は木々で囲まれています。

釈迦岳を後にし、進むと電波塔が見えて来ます。こちらがカラ岳(1,030m)です。

勾配の緩やかな尾根歩き。霧に包まれたり晴れたりを繰り返す山歩きとなりました。

個人的にテンションが上がった「八雲ヶ原」に到着です。霧の中に湿原があるではないですか!

看板の説明にもあるとおり、近畿地方では珍しい高地湿原帯となります。近畿で湿原を見れるとは思いませんでした。

湿原といえば、去年長野で見た「八島ヶ原湿原」を思い出しました。

あわせて読みたい
霧ヶ峰の広大な高原をトレッキング。登山初心者でも楽しめる周遊コースがオススメ。蓼科山や八ヶ岳連峰を望みながら、広大な高原をトレッキング。体力に自信がなくても楽しめる周遊コースをご紹介! 遅目の夏季休暇を利用して、...

こちらの八雲ヶ原は八島ヶ原湿原に比べると小さいのですが、ちょうどいいサイズ。ザックをおろしちょこんと地面に座って湿原を見ると顔を動かさなくても全てが見えます。

湿原の反対側へまわりました。向こう側にテントを張って湿原を見ながらゆっくりするのもいいですね。

一瞬だけパッと晴れたので急いで元の場所に戻りカメラで撮影しました。この風景が大好きです。今思えば、ここでゆっくり昼食にすればよかったと悔やみます。

再び、霧に包まれたので八雲ヶ原を後にし、いよいよ武奈ヶ岳への登りに入ります。

コヤマノ分岐から少し進むと武奈ヶ岳山頂が見えます。山頂は晴れてそうで、軽くガッツポーズ。急いで登ります。

ただ、非常に登山道が狭くなります。すれ違うのも困難なくらいに狭い。幸いにも前からは誰も来ませんでした。

さあ、いよいよ武奈ヶ岳山頂が見えて来ました!

お疲れ様でした!比良山地最高峰1,214.2m武奈ヶ岳山頂に到着です!

残念ながらガスで眺望はなく、楽しみにしていた琵琶湖も見えませんでした・・・リベンジ確定ですね・・・

登山中に晴れたりガスったりを繰り返していたので、昼食をとりながら少し様子を見ることにしました。

今回の山めしはきつねうどんに山菜おこわの和食でサクッと済ませて、コーヒーを飲みながらガスが晴れるのを待ちますが、残念ながらその気配もなく下山を開始します。

晴れていたら最高に気持ちのいい稜線歩きが楽しめそうな西南稜線。

青空をバックに写真を撮りたい欲求がすごかったです。こういう稜線歩き大好きなので、絶対にまた晴れの日に登ります。今日は仕方ないですが、これも登山の面白いところ。1回登って終わりにするのはもったいないですよね。

「ワサビ峠」から「ワサビ谷」をくだります。台風の後なので登山道が沢のようになっています。沢を何ヶ所か渡る場所もあり、トレッキングポールで慎重に進みます。

ワサビ谷を越えると、「中峠」に出ます。このまま「大山口」に向けてくだり、「金糞峠」の先の「青ガレ」を目指します。特に迷うこともなくわかりやすい登山道です。

それにしても「金糞峠(かなくそとうげ)」ってすごい名前・・・あと、比良イン谷のインも何のことなのか気になります。面白い名前がいっぱいな比良山地。

落石注意の難所「青ガレ」です。岩がゴロゴロしていて滑りやすいです。転倒に注意。注意してても滑って転倒してしまいました。幸い目立った怪我はありませんでした。不安がある方はここは回避した方が良さそうです。右手の上のほうからそれほど大きくはありませんが、落石がありました。こういう場所はヘルメットあった方がいいなぁと思いました。

青ガレで転倒したものの、何とか無事に「大山口」に到着しました。ここから駐車場までは10分くらい。

無事、駐車場に到着しました。休憩を入れておよそ9時間の山旅でした。気づけばもう夕方・・・道が混む!と焦り急いで着替えて帰路につきます。天気はいまいちでしたが、1日中武奈ヶ岳を満喫した1日でした。お疲れ様でした!

下山後の温泉は?

武奈ヶ岳を楽しんだあとの疲れを癒す温泉も近くにあります!天然温泉比良とぴあです。

・天然温泉比良とぴあ・・・〒520-0503 滋賀県大津市北比良1039-2 TEL:077-596-8388 営業時間10時〜21時 定休日:年末年始、不定期メンテナンスあり 駐車場完備:普通車37台

比良イン谷口から比較的近くにある比良とぴあ。今回は山行が思ったより長くなったので、温泉はカット・・・外観だけ見に行きました。

駐車場も広くて、登山口からも近いです。詳しくは、上のリンクから比良とぴあのHPをご確認ください。次は絶対に入りに行きます。

登山の感想とまとめ

今回は滋賀県の比良山地最高峰「武奈ヶ岳」のアクセス情報や登山の様子をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?京阪神地区からも比較的アクセスしやすく、見どころも登りごたえもある素晴らしい山でした。

簡単にこの記事の内容のおさらいと実際に登山した感想をまとめて締めたいと思います。

「武奈ヶ岳」は滋賀県の比良山地の最高峰で、標高は1,213.2mの山です。山名は山の中腹部にブナの木が多いからとされています。

登山口へのアクセスは、車の場合は「比良イン谷口」のバス停を少し登った所に「暮雪山保安林駐車場」と「大津ワンゲル道登山口」前の駐車場の2ヶ所あります。(車高の低い車は、ワンゲル道登山口前の駐車場の利用がおすすめ。)

また、公共交通機関の利用でもアクセスすることができ、JR湖西線の比良駅下車、比良登山線の路線バス利用で比良イン谷口まで行くことができます。

今回の登山ルートは「大津ワンゲル道登山口」から「釈迦岳」をまず目指し、「カラ岳」を経由して美しい湿原風景の「八雲ヶ原」で少し休憩をとります。そして比良山地最高峰の「武奈ヶ岳」へ。山頂で食事をとったあとは西南稜線の尾根歩きを楽しみ、「ワサビ谷」を降り「金糞峠」を経て難所の「青ガレ」を降り「大山口」へ下山するルート。

山行時間は休憩時間も含めて9時間50分の長旅となりました。じっくり山を楽しむには良いルートですが、登りの「大津ワンゲル道」の急登と下りの「青ガレ」は注意が必要で、初心者の方には厳しいルートだと思いました。初心者の方が武奈ヶ岳に登られる際は、違うルートを選ばれた方が良いと思います。

また、長い時間の山行になりますので、体力ももちろん必要ですが、ペース配分も重要だと感じました。ある程度の水分もです。私は5リットル持って行き、下山と同時に全て飲んでしまいました。

天気がいまいちでしたが、素晴らしい景色を見せてくれた「八雲ヶ原」の湿原は美しく、涼しくなったらテント泊したいお気に入りポイントとなりました。武奈ヶ岳山頂から西南稜線は晴れていれば気持ちのいい尾根歩きができそうでリベンジしたいです。琵琶湖も今回は望むことができなかったので、天気の良い日にもう一度登りたい山です。

下山後の温泉施設も比較的近い場所にあり、登山で疲れた体をゆっくり癒してから帰宅することも可能です。今回は時間の関係で入浴することができませんでしたので、次回は必ず立ち寄りたいです。

滋賀には日本百名山に選定された「伊吹山」が有名ですが、こちらの武奈ヶ岳も素晴らしい山でした。まだ行かれていない方は是非一度登っていただきたい、オススメの近畿の山です。次回登る際は、もう少し短いルートを選択して、もう少しゆっくりしたいと思いました。

ナオ
ナオ
下山が遅くなると国道161号バイパスの京都方面向きが渋滞するので、お昼過ぎには下山して温泉に入って、混む前に帰路につきたいと思いました。次回はもっとショートコースで登ろうと思います。